
中国と日本原産のゆりは古名を佐韋(さい)、三枝(さいぐさ)といい、これは賽の河原のサイと同じ意味で、ゆりの霊力が天上の扉を開くと信じられていました。
百合というのは漢名で、鱗片(りんぺん)が幾重にも重なり合っていることからつきました。
古くから薬用として使われ、一部苦みの少ないゆりねは食用にもしていたようです。
はじめは自生のものを採取していましたが、17世紀になって栽培されるようになりました。
現在では食用として栽培されている95%は苦みの少ない小鬼ゆりで、残りの5%が鬼ゆりや苦みのない山ゆりです。
全国で食べられているゆりねの98%は北海道で栽培されたものです。
ひとつのゆり根を作るには3年かかります。
収穫するまでに花のつぼみを2回切り、地中の茎に栄養分をいきわたらせることで、ぷっくりと太ったおいしいゆりねができます。
関西での消費が圧倒的に多く、なかでも京都でよく食べられています。
茶碗蒸がよく知られていますが、京都ではがんもどきの具になったりして、お豆腐屋さん、湯葉屋さんなどでも使われています。特にたんぱく質が多く、じゃがいもの2倍。
良質のでんぷんを含んでおり、強壮効果があります。
グルコマンナンと呼ばれる食物繊維が豊富で、便秘や整腸に効果があります。
他にカリウム、鉄、リン、カルシウム等の無機質が含まれています。
その昔は薬用として食され、滋養強壮、利尿、せき止め、産後の回復食などの薬理効果がある食物として親しまれています。
ゆり根のいろいろ