
日本をはじめ、温帯地方に分布しているが日本では秋の味覚の王者だ。
ただ、数あるきのこの中でも非常に気難しい茸である。
王者マツタケは城を作る。
まず笠のひだにできた胞子が地面に落ちて発芽し、細い菌糸を出す菌糸は赤松の細い根につき、細胞の隙間に入って菌根を作り、木の養分を吸い取って成長する。
菌糸と菌根は放射状に増殖し、やがて地上に子実体を出す。
これがマツタケであり毎年出る場所が円状に広がっていくこの輪がマツタケのシロと呼ばれているシロはマツタケの敵になるような微生物の少ない、やせた土地に何十年も輪を広げるマツタケは主に赤松につく。
赤松は元来痩せた土地を好み、どこででも育つので強そうだが病気に弱い赤松はマツタケ菌に糖分などを与え、菌糸は土中の水分や養分を赤松に送るまた菌糸は根を病気から守る、という共生関係がある赤松にはマツタケ以外にも色々な茸が菌根を作る。
赤松はマツタケだけのものではないそれでも赤松林の林齢50年頃までは敵になる微生物が少ないのでシロを作る空き地がありシロはどんどん広がっていくこのような状態を、のぼり山、と呼ぶしかし次第に他の茸も増え山が満員状態になると、新しいシロを作る余地がなくなる林齢70年を過ぎると落ち葉もたまり微生物も増え、シロは消えていき、くだり山、となるのぼり山状態を維持すればよい訳だが、なかなかそうはいかず栽培が出来ないマツタケが高価なのは採れる量が少ないからで、不作の原因は異常気象、林の乱伐放任、大気汚染、農薬の影響、山地の荒廃、などが考えられる。
朝鮮半島や中国では若い赤松林が広がり、マツタケののぼり山が多い高価な国産品より輸入品で雰囲気だけ楽しむという向きも少なくない。
特有の芳香は桂皮酸メチルエステルとオクタノール 旨味成分はグアニル酸が主体となっている水分は88パーセントで、90パーセント以上が普通である茸類の中では少なめ糖質やビタミンB2が多いほか、ビタミンD効果を持つエルゴステリンも含まれている秋の味覚として日本ではどうしても必要なため輸入に頼ることになる市場での割合は国産品が15〜20パーセント、輸入品が80〜85パーセントである。
韓国、北朝鮮、中国、アメリカ、カナダなどが主な輸入国で中国産が増えている。
だが広大な国土ゆえ北京まで届くのに3〜4日かかり、空輸とはいえ鮮度はかなり落ちる。品質は何と言っても国産品に限る。
松茸(まつたけ)のいろいろ