野菜果物辞典
青じそ(大葉)
日本料理特有のもので、メイン料理である夫を引き立てる意味から「つまもの」としてよく使われます。

つまものは、盛り付けなどの引き立て役だけでなく、肉や魚の生臭さを消したり、食中毒の予防などの役目を果たしています。

とりわけしそは昔から食欲増進、精神安定、鎮咳、殺菌、利尿、浄血、健胃などさまざまな効能があるといわれ、日本人の生活にもっとも馴染んできた野菜ではないでしょうか。

しそは、部位や生育の段階によって芽じそ、穂じそ、葉じその3種類に分けられますが、芽じそは、刺し身のつまに使う発芽して間もない芽で、紫芽、青芽があります。

穂じそは一部に実の入ったもので、花軸の花が30%開いたものを花穂といいます。

葉じそは、青じそが“大葉”としててんぷらや刺し身のつまに、また、スパゲティーのバジリコの代用品としてもよく使われていますね。

赤じその葉にはチアニンという紫紅色の色素があり、梅干しの色付けに使われていますが、小田原近郊で栽培されているしその葉は、大きく育っても口に残らないと評判でした。

これを使って小田原の梅干しが有名になったという話もあるそうです。

しその香気は、しそ油という精油成分によるもので、細菌類の繁殖を抑える作用があり、醤油の防腐剤として用いられているようです。

また、森繁久彌さんが以前しめさばで胃けいれんをおこして有名になったアニサキス症の予防にも有効です。

刺し身のつまはダテではないのです。

 漢方では、しその持つ発汗、解熱、鎮咳、鎮静、利尿などの作用を利用して、感冒、気管支炎、ぜんそく、神経症などに応用するしそ入りの薬が20種類も出ています。また、切り傷の止血にしその葉を局所に貼ったり、化膿予防によく水に浸した葉を手で揉んで貼りつけるとよいようです。


<基本情報>※前頁の内容と重複しております。

●栄養価

ベータカロチン、カリウム、カルシウム、鉄分

●効能

アトピー性皮膚炎、花粉症、脳卒中、心臓病、抗酸化作用、がんの予防

●豆知識

原産地は中国中南部、日本では10世紀に朝廷の内膳所で栽培されていたとの記録がある。

初めは薬用とされ、葉は、気を通す芳香健胃薬として食欲増進、毒消しに、また風邪薬として他の生薬と配合して使われるときには発汗作用に、種子は喘息など咳の多い症状に使われます。

戦国時代の朝鮮征伐の時、加藤清正は、部下の士気の低下をこの紫蘇の入った漢方薬「香蘇散」でなおしたといいます。

このような使い方は「気剤」といい、現代的な抗うつ剤のない昔は芳香のある生薬で、ウツウツとした気を紛らわせていた。

食材として青紫蘇は、和食を引き立てる香味野菜として様々な料理に広く使用されています。

紫蘇特有の香りの元は、ペリルアルデヒドという成分で、臭覚神経を刺激して胃液の分泌を促し、食欲を増進させるほか、健胃作用もあるといわれています。

さらにペリルアルデヒドは、強い防腐作用を持ち、食中毒の予防にも役立ちます。

これがお寿司や刺身など、日本料理に特有の「生食」の習慣にマッチしているんです。

紫蘇の栄養成分では、体内でビタミンAに変わるβ(ベータ)-カロチンの含有量が多く、野菜の中でもトップクラスです。

 β-カロチンには、活性酸素の生成を防ぐ抗酸化作用があり、がんの予防に効果があるとされます。

また紫蘇には、骨や歯を丈夫にするカルシウム、貧血を防ぐ鉄、ナトリウム(塩分)を排出し高血圧・むくみを予防するカリウム、便通を促す食物繊維、ビタミンB1・B2・Cなども多く含まれています。

さらに、近年シソ科植物の種子から抽出したシソ油が注目されています。

シソ油に豊富に含まれる不飽和脂肪酸『α(アルファ)-リノレン酸』は、体内でEPA(エイコサペンタエン酸)に変化し、血栓を防ぎ、血液の流れをサラサラにする働きがあります。脳卒中、心臓病などの成人病の予防に効果。

また、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患の症状を軽減する効果もあると言われています。

●見分け方

独特の香りが強く、葉先までピンとしているもの、色が鮮やかで変色がなく、しおれていないものがいい!





青じそ(大葉)のいろいろ

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