現在栽培されているあんずの原産地は、中国の北部から東北区南部の山岳地帯と言われ、ここからアジアやヨ−ロッパ各地へ伝えられました。
中国では古くから栽培されていましたが、当時は果実を利用していたのではなく、種の中の仁を薬として利用していました。
日本にはあんずの野生種が見られないことから、中国から導入されたと考えられており、平安時代の古文書には長野県で栽培されていた記録が残されています。
果実を利用するようになったのは明治時代に入ってからで、科学合成医薬品が発達し、仁の需要が減少したことによります。
本格的に果実の利用を目的に栽培されるようになったのは、大正時代に入ってからで、ヨ−ロッパスモモの品種も導入され、果肉割合の多い品種が育成されました。
あんずの栽培適地は寒冷で乾燥した地域と言われ、日本ではりんごの産地と分布が一致しており、主に甲信越や東北地方で栽培されています。
これは西南暖地では花の開花が早く、受粉のための訪花昆虫の活動前であったり、幼果期に晩霜の被害にあう確率が高く生産が安定しないためと言われています。
果実の利用は外国では乾燥果実やシロップ煮の缶詰等に、日本では生食の他、果実酒やジャム、ゼリ−等にも利用されています。
<基本情報>
●栄養価
カロチン・ビタミンE・カリウム・食物繊維
●効能
疲労回復・高血圧・整腸
●豆知識
あんずは、バラ科、サクラ属のスモモ亜属に属する果樹で比較的古くから中国より伝わったとされています。
酸味が強いので加工して、ジャムや干しあんず、果実酒などに利用されます。
果物の中ではカロチンの量が非常に多く、その抗酸化作用により、がんや老化の予防効果が期待できます。
アンズには肺を潤す働きがあるので、せきやたんを抑えます。
体の水分バランスも整えるので、のどの渇き、便秘、下痢、むくみなどの解消にも効果的です。
ナトリウムを排泄するカリウムが多く含まれているので、高血圧の予防などにも効果があります。
干しアンズはミネラル分等栄養分が濃縮されるため、生で食べるよりもより効果的です。
平和・昭和・信州大実・信月・信山丸・ハーコットなどの種類があり、用途によって使い分けます。
どの種類も生で食べられますが、なかでも酸味の少ない信州大実・信山丸が適しています。
ジャムには、色あがりがきれいな昭和・平和が適しています。
また、シロップ漬け・砂糖漬けには、果肉の決めのよい昭和・信山丸が適しています。
●見分け方
果面全体に橙色でハリがあるもの。傷やシミなどがないもの。
あんずのいろいろ