▼トリビア
山芋の歴史は米の歴史よりも古く、縄文時代から食べられていたそうです。歴史書や小説にも山芋の記述は多く書き残されています。有名な「平家物語」に平忠盛と白河院が零余子(むかご)を手に持ちながら、祇園女御の生んだ子について語る場面があります。江戸時代になると、儒学者で本草学者でもある貝原益軒(かいばらえきけん)の「益軒十訓」の一つ「養正訓」で、とろろで精力がつきすぎ、世の男女関係が乱れるのを心配したくだりがあるほか、井原西鶴(いはらさいかく)の「好色一代男」にも主人公の世之介が精力源としてとろろいもを利用した記述があります。芥川龍之介の「芋粥」にも山芋が登場するなど歴史的背景に必ず出てくる野菜です。山芋の皮をむいたり擦ったりすると手がかゆくなる場合があります。皮を切ったり、すったりすると、皮付近に存在していたシュウ酸カルシウムの針状の結晶が壊されてバラバラになり、手や口などにささってかゆみが発生します。シュウ酸カルシウムは酸にとても弱いという性質を持っていますので、あらかじめ酢水につけてから料理するとかゆみはおこりません。また、かゆみがおこったときには、レモン汁をかゆくなっている部分につけたり、食酢を薄めたもので軽く洗い流すとかゆみがおさまります。
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